子どもの本

2016年9月 6日 (火)

こんな絵本あり?!

今年の3月、夜中に、ぼんやりテレビを見ていたら、「私は訳あり成功者~暴走族から絵本作家へ」という番組をやっていたので、「絵本」という言葉に惹かれて見てみた。見ているうちに私は胸糞悪くなって、だんだん腹がたってきた。

描いた絵本が大ヒットして23才でキャッシュで家を建てたとか、大ヒットする絵本の書き方とか、得々と述べてるんだけど、子どもの成長に資する絵本を作ろうということよりも、いかに売れる絵本を作るかということに汲々としているなあという印象。
 「テキストは3分半から5分で終わらないと子どもが飽きちゃう」んだと。
 そうかあ?飽きちゃうのは詰まらないからじゃない?ここでも、この作家が子どもをなめてるのがよくわかる。
「ひとまねこざる」なんか10分以上かかるけれど、5才児だって最後までよく聞いてくれますよ。(あ、ただ同じ岩波から出ているH・A・レイ原作って書いてある「おさるのジョージ」シリーズはおすすめできません。あれは本当のジョージじゃないですから。)
そして問題の絵本、「ママがおばけになっちゃった」の内容ですが、お母さんが突然、交通事故で死んでしまったので、幽霊になって残された4歳の子どもに会いに来る。その時の子どもとのやり取りが描かれているんだけど(ここで、詳しく内容を書くのもいやなので、内容が知りたい人は「絵本なび」で無料で読めますからそこで見てください。)
人の死をあんなに軽々しく、扱っていいのか、読んでて違和感と嫌悪感しかない。でも、アマゾンのレビューを見ると、400以上のレビューがついてる!絵本でこんなにたくさんのレビューが付くことはまずないから、すごい反響だし読まれているということ。
 くだらない、受け狙いだけの絵本なんてごまんとあるから、それはあまりショックでもなかった。私が一番ショックだったのは、こんな底の浅い、品性下劣な絵本で泣ける人が、感動する人がこんなにいるんだ!という現実に愕然としたのです。
ただ、ちょっと救われたのが星1つが89もあったこと。
大体は自分が選んだのではなく、人からプレゼントされたとか、評判だから本屋で見つけて立ち読みしてその内容に愕然としたなどという方が多いよう。
幼い子どもを残して亡くなるというシチュエーションはやはり、母親にはつらい事だから、ぐっとくるのかもしれません。事実、星ひとつの方でも、その場面では涙が出たと。
でも、でも私は全然泣けなかった。全く感情移入できなかった。なんでだろ、いつもは涙腺ゆるいのに。
ひとつ言えることは、この絵本には人生の真実がひとつもないから。この人は大切な人を亡くすということがどんなことか経験したことがないのか、あるいは人の死というものを深く考えたことがないのか、死というものを頭の端っこでころころころがして思いついたことをかいてるみたい。
哲学とまではいかなくとも、人の死を扱うなら、きちんと調べて自分自身の心に落とし込んでから描いてもらいたい!相手が子どもだからといい加減なこと言ってごまかさないでほしい。
この本を出している大手出版社(K談社)の編集担当者もテレビにでていたけど、「あんたプロでしょ?こんな絵本だしていいの?」ってテレビに向かってつっこんでましたよ。本当はいい編集者が新人を育てるのに、どうみても、子どものためではなく、売れるか売れないか、できめてるような、きっとこの人もこんなの一時的に売れるだけってわかってて、売れなくなったら、切り捨てればいいや、ぐらいに思ってるんだろうな。いい絵本作家を育てていこうなんて気はさらさらない感じだった。
あんまり頭にきたので、私のまわりにいるお母さん方はどう思っているのだろうと、ちょうど小学校の読み聞かせをしているお母さん方との勉強会があったので、「ママが~」を用意してもらって、読み聞かせしてから、意見を言い合ったのですが、ひとりのお母さんがしぼりだすように「私は3歳で母を亡くしました。この絵本は死を茶化してして・・・許せません」とおっしゃったのです。それから、いろいろご意見を伺いましたが、皆さん、自分の子どもには読ませたくないというご意見でした。でも、会が終わってから、おずおずと私のところにいらした方が、「あの、OOさんが読んでくださった時、私涙がでてしまったんですけど、だめでしょうか?」と聞いてきたんです。
それを聞いて私はため息がでました。「どうして、それを話し合ってる時に言ってくださらなかったの?そしたら、話し合いがもっと深まったのに。」というと、「そんなこと、とてもいえませんよ。」と、鼻の先で手を振るのです。私は「母親が、幼い子どもを残して死んでいかなければならない、そんなシチュエーションですもの、涙が出てもぜんぜんおかしくありませんよ。でも、これは子どもに手渡す本ではありません。」といいました。
こうして、みんなで、話し合っても、この絵本が子どもにとってふさわしくないということが感じ取れない人もいるということに、本当になにかもどかしいものを感じていました。
そこで、子ども文庫の会のAさんの「くらべ読みの会」でこの本を取り上げていただきました。それは次回に書きます。

2015年3月 9日 (月)

100まんびきのねこ

 H小お話会、2年生プログラムは

  1、おはなし・・・ふしぎなたいこ
  2、絵本・・・100まんびきのねこ
  3、おはなし・・・マメ子と魔もの
 
 私は「100まんびきのねこ」を読みました。大好きな絵本。
本文は白黒なのですが、表紙は黄色地に赤い空、黒い丘の上を、ねこを引きつれたおじいさんが描かれていて印象的です
。猫の模様の見返しも素敵で、こんな生地がほしいくらい。

木版画を思わせるような細かな線で丹念に描き出す独特な表現の絵。
そのダイナミックな曲線を多用した絵が、猫が互いに食い合ってしまうなんていう、ちょっと大人が眉をひそめるような内容をカラッとしたブラックユーモアに変えてしまいます。

この絵本は石井桃子さんがかつら文庫をご自宅でひらかれたとき、カナダの児童図書館員が送ってくれた児童書の中にあった絵本で、まだ日本で出版されていなかったので、石井さんが日本語に訳しながら読んであげたそうです。

それにもかかわらず、子ども達に大人気だったそうです。この時一緒に送られてきた絵本に「シナの五にんきょうだい」や「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」などがありました。

後に石井さんらが働きかけて福音館から日本語版が出版されたそうです。

この「100まんびきのねこ」は絵本の古典みたいな本ですが、ぜんぜん古臭さを感じさせません。同じワンダ・ガアグの「へんなどうつぶ」もなんかシュールでヘンテコで好きです。
だから、ワンダ・ガアグって勝手に若い人かと思っていたら、1893年生まれで、もうとっくに亡くなっていたんですね。
さて、この絵本、絵だけでなく、テキストもリズムがあっていいんです。とくに

「そこにも ねこ あそこにも ねこ、
どこにも、かしこにも、ねこと こねこ、
ひゃっぴきの ねこ せんびきの ねこ 
ひゃくまんびき、一おく 一ちょうひきのねこ。」

というフレーズが何回か繰り返されるのですが、子ども達はここが大好きで楽しいらしく、三回目あたりから読んでいる私と一緒に大合唱になります。
今回2クラス読みましたが、2クラスとも大合唱。

一緒に組んでいた方が「100まんびきのねこ、、絵が遠目が聞かないから読み聞かせに使ったことなかったけど、すごくよく聞いて楽しんでたね。」とびっくりされていました。


 

2015年3月 8日 (日)

いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう

H小学校のお話会

1年生のプログラムは
1おはなし・・・あなのはなし
2絵本・・・いたずらきかんしゃちゅうちゅう
3おはなし・・・みつけどり
私はみつけどりを語った。

子ども達はほんとうによく聞いてくれたけど、ちゅうちゅうを聞いている時の目の輝きは見ているこっちの方が嬉しくなってしまうほど。

その日行った3クラス、みんな同じリアクション。「前に読んだことある人」って聞いたら、どのクラスも三分の一くらい手が上がった。でも、だれひとり、「あ~それしってるぅ、読んだことある!」って言わなかった。

この絵本はうちの子も散々よんだなあ。長いから「も、一回」といわれるとうんざりしちゃって、いやいや読んだこともあった。

いつもおいしいものを食べた後、あ~もっとゆっくり味わって食べればよかったなあと後悔するんだけど、今思い返すと、子どもとの素敵な素敵な時間だったのに、なんでもっと、優しく丁寧に読んであげなかったのかと思う。

バージニア・リーバートンの絵本はこのほかにも、「ちいさいおうち」や「マイクマリガンとスチームショベル」「はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー」なんかも大好きだった。
絵が生きているというか、ページをめくると、主人公がとび出してきそうな、勢いがあって、中の文も絵のようにくねくねしてたり、とにかく1ページ1ページ毎回発見があって、子ども達は大人が見過ごすような細かい所も見逃さず、まー良く見てたね。

バージニア・リーバートンさんのすごいところは、子どもの本だからっていいかげんにしないで、機械の名前や働きをちゃっとかきこんでいるところ、こんなのこどもにゃわからんだろう、というようなこともきちんとかいていて、また子どもがそういうところが大好きで、じっくり見ていた。

ちゅうちゅうに出てくる、石炭船に落ちた炭水車を起重機であげる、なんて場面だってうちの子は、起重機って言葉をここで、知ったんだと思う。

先日、久しぶりに、「マイクマリガン~」をひとに読んでもらった時、こんなに面白い話だったかと、あらためてびっくりした。

私がいいなあと思ったところは「おおきなふねが、たくさん とおれるように りっぱなうんがを ほったのも、マイクと メアリと それから そのとき いっしょに はたらいた ひとたちでした」

というところ、このあとも、線路をつくったり、ハイウェイをつくったりと続くんだけど、そのたんびに「~したのも、マイクと メアリと そのときいっしょに はたらいた ひとたちでした」とある。
その場面を読んでもらっていた時、なにかわからないけれど、暖かなものが伝わってきた。
でも、スチームショベルは最新式のガソリンショベルや電気ショベルなどに仕事をとられてしまう。
そんな時、田舎の町で市役所を作るという話をきいて、そこにいって、一日で地下室の穴を掘る、もし一日で掘れなかったらお金はいらないと。
役人はたとへ小さな穴でもタダで掘らせるのはうまい話だと思って、マイクたちにやらせることにするのです。
。ここのところも、一日でできるか、はらはらさせて面白いのだけれど、やっと一日で掘ることが出来たのに、自分が出るところを作っておかなかったので、マイクとスチームショベルは穴の中に取り残されてしまう。
さあ、どうするって時に、マイクたちの仕事をずっと見ていた男の子がすごくいいアイデアをだす。
それはみんなが満足するアイデアでした。
本当に読んだ後深い満足と幸せな気持ちになる絵本だなあと思う。
これはバージニア・リーバートンさんが次男のマイケルのために作った絵本だそうです。ちなみに、ちゅうちゅうは長男のアリスに贈った絵本です。

2014年9月 1日 (月)

8月のある日

1408342939607.jpg 8月のある日、知り合いの娘さんのお見舞いに行った。

高校3年生の彼女に、婦人科系の病気がわかったのは、夏休みに入る直前、幸い手術で取り除けば大丈夫とのこと。でも、いったんは、将来子どもが生めるかどうかという話も出ていた。

命にかかわる病気ではないが、これから、愛する人ができ、結婚も、という若い女の子にとってどんなに、不安だったか。心配だからといって、わあわあ、お見舞いに行ってやかましく激励されるのは嫌だろうと思って、退院後2週間くらいして、お見舞いに行った。

本が大好きな子だから、本のお見舞いを持って。何を持っていこうか、悩んだが、

「風の妖精たち」メアリ・ドモーガン/作、「九つの銅貨」ウォルターデ・ラ・メア/作、「家なき鳥」グロリア・ウィーラン/作の3冊。楽しんでくれるといいな。

2013年9月 5日 (木)

私の夏休み② 「こねこのぴっち」展

8月13日には銀座のナルニア国に「こねこのぴっち」展に行ってきました。

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2013年4月21日 (日)

チキン・スープライス入り

『絵本の会』のMさんから、うちの学校の読み聞かせボランティアのメンバーに絵本についてお話ししてほしい、と頼まれ、その時、できたら、20分休みに子どもたちに読み聞かせしてほしいと言われたので、喜んででかけた。

持って行ったのは「チキン・スープライスいり:センダック作、冨山房」と「ちいさなヒッポ:マーシャ・ブラウン作、偕成社」

「チキン~」は今まで読んで失敗したことない本、学年問わず楽しめる本だ、この小学校でも、みんなとても楽しんでくれた、おもしろい言葉のフレーズのところで大笑いするのだが、ちゃんと次のことばが出る頃には、静かになる。で、また大笑い、読んでるこちらも楽しくなってしまう。一番前にいた子が「もう一回読んで!」といってくれたが、時間が来たので、といわれ、残念そうにしていた。私も残念だよ。

終了後、一緒に聞いていたこの学校の先生やボランティアの方が「すごいですね、子どもたちの集中度がちがう」「私たち今まで、もう一回って言われたことない!」などと言っておられましたが、毎回この本のちからに私の方が驚きます。

言葉のリズムがとてもここちよい。訳者の神宮輝夫さんの名訳だと思う。

私の大好きなOCTOBER(10月)を比べてみるとすごい。

原文                                             訳文

OCTOBER                 おくとぉばーは10がつ

In October                 おきゃくをよぶんだ、このつきは。

I'll be host                  まじょと こおにと ゆうれいが、

to witches, goblins             おきゃくになって やってくる。

and a ghost.

I'll serve them               チキンスープ・ライスいりに、

chicken soup                トーストひたして ごちそうしよう。

on toast.

Whoopy once                1かい ほ、ほ、ほーう

whoopy twice                2かい ほ、ほ、ほーう

whoooy chicken soup           こわい こえして よろこぶぞ、

with rice.                  チキンスープ・ライスいり。

よくこれを、こんなふうに訳せたなあ、と感心します。原文よりうんと、ことばのリズムを楽しめる。

いつか、どうやって訳したのですか、と訳者の神宮輝夫さんに聞いたことがあります。そしたら、飛行機に乗ってるときお酒を飲みながら訳したとのこと。なるほど、楽しいわけだ。

ちなみに偶然、この学校の子どもさんと会って、話してたら、給食のときの放送で「チキンスープ・ライスいり」が読まれたんだって。ちょっと嬉しかった。

2012年6月14日 (木)

マリー・ホール・エッツ

昨日は3回目の「絵本の会」

マリー・ホール・エッツの2回目でした。

今年から、地域の親しい仲間と絵本の勉強を始めました。いつかじっくりと絵本を読みあ

って仲間と語り合いたいと思っていたのを、実現したのです。

で、今回はコミュニティでなくて、自宅にて開催。持っていく本が重くって、大変なのでたい

して距離も違わないのでそうしてもらいました。

今回はあまり読んだことのないエッツの本を中心に読みました。

以下に出版順に作品名を記す。

「ペニ―さん」(1935)  「赤ちゃんの話」(1939)  「もりのなか」(1944)

「ぼくの犬リンティ」(1946)  「海のおばけオーリー」(1947)  

「ちいさなふるいじどうしゃ」(1948)  *「ねずみのウーくん」(1951)

「けものたちとナンセンス」(1952)  「またもりへ」(1953)

*「わたしとあそんで」(1955)  *「ペニ―さんと動物家族」(1956)

「モーモーまきばのおきゃくさま」(1958)  「クリスマスまであと9日」(1959)1960年度コ

ルデコット賞受賞、  「ミスターペニーのサーカス」(1961) 「ジルベルトとかぜ」(1963)

*「あるあさ、ぼくは・・・」(1965)  「わるい子、よい子」(1967)  

「ことばをつかわない話し方」(1968) 「井戸の中のゾウ」(1972)

「カケス」(1974)  「きこえる きこえる」(1981)

*印はコルデコットオナー受賞、

今日、読んだのは「あるあさぼくは・・・」「わたしとあそんで」、さらっとよんだのは「海のお

ばけオーリー」「あかちゃんの話」

「あるあさ~」は次から次にいろいろな動物がでてくるところは「わたしとあそんで」に似て

るが「わたし~」はむねにストンとおちるものがあり、ストーリーの流れも自然で無理が

なくて読後には満足が残るが、「あるあさ~」は最後がなんだかはぐらかされた感じが

残った。そしてみんなの意見は、長すぎる!ということ、出てくる動物が多くて、最初おもし

ろいと思っていたがだんだんたいくつになってきて、気持ちを引っ張っていくものが無かっ

た。なーんて勝手なこと言ってエッツさんごめんなさい。どんなにいい作家でも、全部が

傑作なんてことはあり得ない。このほかにも、「モーモーまきばのおきゃくさま」「ちいさな

ふるいじどうしゃ」は面白くない。という意見。

「あかちゃんの話」から、科学的な子ども向けの読み物の話に。

科学的なことで難しいことは子供向けに書かれたものを読むとわかりやすい。

「人類の長い旅」という本は宇宙の起源、生命誕生の謎、などとてもわかりやすくておもし

ろかった。

私は、エッツの本でひとつだけ、といわれたら「もりのなか」だな。だいすき!

ベスト3は1位「もりのなか」、2位「わたしとあそんで」、3位「クリスマスまであと9日」