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2014年10月 6日 (月)

辰巳芳子さん

NHKアーカイブスで、辰巳芳子さんの番組「おいしさを持ち続けて 料理家 辰巳芳子の四季」をみた。以前にも見たことのある番組だったが改めて、辰巳芳子さんの言葉の持つ味わい深さに感心した。もう哲学者だなと思った。しかも、日常の平凡の中の非凡を説く哲学者。

その中での一つのエピソード:辰巳さんのお母さんの浜子さんの思い出。

浜子さんがお弁当によく「鰹節の巻きずし」を作ってくれたが、芳子さんはそれがあまり好きではなかった。鰹節にまぶしたしょうゆがご飯に沁みて生臭くなっていたから。それを浜子さんに言うと、「こんどはもっとおいしくしてあげるからね」と言って、すぐさま台所にたって、鰹節を醤油で炒って佃煮にして、醤油がご飯に沁みこまないように改良してくれた。

「すぐやってくれたの。不思議なことに、子どもってのはそういうことがあると、親を信用するようになるのね。」と芳子さんは言う。

家族を喜ばそうと思って、手を抜かず、いろいろ工夫して料理することって、本当に家族の心、特に子どもの心にしっかりと絆を作ってくれると思う。

私は、子どもとケンカしたりしたとき、仲直りの真ん中にはいつも、おいしいご飯やおやつがあって、それでそんなことなかったことになったりした。

番組の中での、辰巳芳子さん語録

「一口でもおいしくってのは、ひとつの祈りだから、祈ってもらってるってことですからね。必ず、非常にうまく回復してゆくんじゃないかな。やっぱり食事を調えるということは、祈りのひとつのかたちですから。」

「一番良い方法をさがしてください。調べてください。よい方法はまごころを育てるし、まごころは方法をうみだすんですよ。」

以上は、高知県の病院から頼まれて患者さんに出すスープの指導をした時の言葉。

「すべての生き物はよりよくなることしか求めてない。(お料理もおんなじ)、全部よくなりたがっている。おいしくなりたがっている。おいしいものになりたがっているんだから、ちょっと手をそえるだけですよ。」

「365日毎回毎回のおいしさというものはね、薄紙を重ねていくようなもの。毎朝、お味噌汁を飲んで、ああおいしいってその薄紙を重ねていく幸福感、その積み重ねが豊かな人生になる。そして信じる力が育成されていく、なぜなら、自分のいのちに対する手ごたえを、そこに感じていくわけだから。」

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毎日食べた料理そのものは、消えていく。でもおいしい記憶はいつまでも心に残る。その薄紙のように積み重なった記憶がその人の人生を深くしていくような気がする。

先日まだ若いのに急逝したお友達、お葬式に行っても実感がなく、思い出すことは、家でやった食事会のときに、ずんだロール持ってきてくれたなあ、あれおいしかったな。なんて、そんなことばかり。出してくれた時の顔やしゃべったことと共に思い出していた。

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