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2014年3月20日 (木)

水門で

Pap_0000_3次回の中学での読み聞かせに使う話を探していて、フィリパ・ピアスの「幽霊を見た10の話(岩波書店)」を読み返してみた。10ある短編の中で「水門で」という話が 一番好きだ。ためしに就活でエントリーシート作成に四苦八苦している長男に「気分転換、気分転換」とかいいながら、無理やり読んで聞かせた。

パソコンに向かいながら耳を傾けていた、長男。あまり聞いてないかなと思ったが、読み終わった途端、「いい話じゃん、おれ、この話すきだよ。初めは何ともなかったのに、どんどん、話に引き込まれた!」と言ってくれ、ちょっとうれしかった。

それで、今日のルピナス文庫の勉強会で、最初に、みんなに聞いてもらった。「涙が出そうになった」と感想を述べてくれた人もいた。また、「中学1年生にはどうだろ、3年生くらいならいいかも」、という人も。

確かに、読書慣れしている子は大丈夫かもしれないが、普段あまり本を読んでない子にはとっつきは悪いかもしれない。でも、「一部の子しか感動してくれないかもしれないけど、聞ける子には、一生忘れない話になるかもしれないですね」との意見も。

そう、「忘れられない話」、この話は私にとってもそういう話だった。戦争のドンパチは一つも出てこないけれど、本当に戦争はいやだなあと思わせられる話。そして親子の、兄弟の、心の絆の強さに心打たれる話だった。

それにしても、フィリパ・ピアスの物語作りの上手なこと!突き放したような淡々とした文章の中に、はっとする人間の心の深淵を見せてくれる。

この「水門で」について、訳者の高杉一郎さんはあとがきで「戦争に引っ張り出されたことのある私は、祖国を遠くはなれた異国の地で、いくらかこれに似た経験をしたことがあります。そのためでしょうか、身につまされて、訳しながら涙をおさえることができませんでした。」と書いています。

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